アスペルガー症候群

こんにちは。揖斐郡池田町の訪問看護ステーションくついです。池田町、揖斐川町、大野町、神戸町、垂井町、大垣市、本巣市、岐阜市に訪問させていただきます。精神科訪問看護に力を入れていきます。

今回はアスペルガー症候群について述べていきます。

アスペルガー症候群は発達障害の一つで、社会性・コミュニケーション・想像力・共感性・イメージすることの障害、こだわりの強さなどが特徴的です。

自閉症スペクトラム障害のうち、言語や知能の遅れのないものを言います。社会性やコミュニケーションの障害のため、周りからは「変わり者」と思われている方が多いです。

その一方で、学業成績は良く、大企業に勤めている方の中にも、実はアスペルガー症候群だったと診断される方もいるようです。

アスペルガー症候群ははっきりとした原因が解明されておらず、まだまだ不明な部分もたくさんあるのが現状です。

遺伝的な要素が複雑に絡み合って引き起こされるもので、生まれつきの脳の機能障害によって発現されるものだと考えられています。

また、胎児期の体内環境や周産期のトラブルなどによって、発現の原因になっているという研究データもあります。

アスペルガー症候群の子供を育てている家庭で、子育てに問題があるのではないかと考えている方も多いですが、育て方が原因ではありません。

アスペルガー症候群には様々な併存症があるといわれています。併存症とは、併存疾患とも呼ばれ、ある病気が原因となって起こる別の病気のことを言います。

アスペルガー症候群には様々な併存症が知られていますが、約70%以上の人が1つの精神疾患を、40%以上の人が2つ以上の精神疾患を持っていると言われています。

一部のアスペルガー症候群の人は、その特異性から他者とコミュニケーションがうまくいかずに、頻繁にイライラしたり落胆することが多いです。

このような状態が長年にわたって続くことにより、併存症として精神疾患を引き起こすことが確認されています。

アスペルガー症候群の併存症の中で特に知的能力障害(知的障害)が多く、そのほかにもADHD、発達性協調運動症、不安症、抑うつ障害、学習障害がしばしば併存します。

また医学的疾患としては、てんかん、睡眠障害、便秘を合併しやすいことが知られています。

また、その中でもてんかんの併存は、知的障害の重い人ほど多く見られます。

アスペルガー症候群の方は、他者とのコミュニケーションにおいて、相手の立場に立って気持ちを理解したり、場の空気を読むことが苦手です。

ですが、これらのコミュニケーション能力は、他者との交流を深めるためには重要な能力です。

なのでアスペルガー症候群の人は、これらのことが苦手であるために、周囲から敬遠されがちになってしまいます。

アスペルガー症候群では、興味が限定されやすい傾向もあります。一度興味を持ったものに対しては、時間を忘れてとことんのめりこむようになります。

こうした自分が興味を持ったものに対しては強いこだわりを持っているのも、アスペルガー症候群の症状の特徴です。

対して自分が興味がないものには、まったく興味を示そうとすることなく、なかなか行動することができません。

アスペルガー症候群の人は、自分の行動や習慣に関して自分が決めたルールにこだわりやすく、毎日の行動がパターン化しやすいのが特徴的です。

それだけでなく、いつもと違うパターン、例えばお風呂と夕食の順序が逆になるといったことを非常に嫌がる傾向にあります。

また、予期せぬことが起こったときにパニックなりやすい傾向もありますので、毎日の生活がルーティン化する傾向があります。

人とのコミュニケーションを取る中で、相手の表情を読むことができなかったり、空気を読むことができない。

また、対人関係や友人を作ることが苦手で、友人関係を維持することができないのも、アスペルガー症候群の症状の特徴ですので、自分や家族にそれがないかチェックしてみましょう。

そして、相手の嘘や悪意が分からずに、簡単に騙されてしまったり、自分ではキレイな身だしなみのつもりでも、清潔感がないといわれてしまうのもそれに当たります。

一つのことにすごくこだわりを持っているのも、アスペルガー症候群の症状の特徴です。違うことを試すよりも、同じやり方にこだわり、何度も繰り返す。

また、物事が予定通り進まないと、動揺して頭が真っ白になってしまうなどの症状がある方は、要注意です。

こだわりだけでなく、悪気がない真実を言ったことで、対人関係が悪化したことがあるなど、想像性の欠如などもアスペルガー症候群にはみられます。

アスペルガー症候群の方には、限定した感覚刺激に対して過剰に反応してしまう「感覚過敏」という症状がある方がいます。

他にも、飲食店などの大勢の人がざわついている場所では、相手との会話が聞き取りにくい「鈍麻」や偏食がひどく、特定の食感のものが食べられないこともあります。

季節や気温に合わせた衣服の調節がうまくすることができない方も当てはまります。

アスペルガー症候群の治療方法は、遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合っているため、根本的な原因を治療することはできません。

うつ病や適応障害などの併存症が出ている場合は、その対処療法として薬物療法が用いられます。

また、アスペルガー症候群の方が社会的なふるまいができるように、精神療法(カウンセリング)で対人関係や社会性を身につける「認知行動療法」が用いられます。

アスペルガー症候群かどうかを診断してもらうためには、医療機関への受診が必要ですが、こうした発達障害と向き合っていくために様々な相談できる施設があります。

発達障害者支援センターは、発達障害児への支援を総合的に行うことを目的とした施設で、各都道府県が指定した社会福祉法人が運営しています。

精神科訪問看護は、精神疾患に特化した訪問看護で、アスペルガー症候群の併存症として精神疾患に悩んでいる方やその家族を、自宅まで訪問して支援します。

さまざまな相談場所がありますので、当事者や家族が抱え込まずに相談してください。

アスペルガー症候群は脳の一部の機能が異常をきたすことにより起こる発達障害で、併存症としてうつ病などの精神疾患を患うこともあります。

アスペルガー症候群の症状はさまざまですので、心当たりがある方は医療機関への受診をおすすめします。