抗精神病薬

こんにちは。揖斐郡池田町の訪問看護ステーションくついです。池田町、揖斐川町、大野町、神戸町、垂井町、大垣市、本巣市、岐阜市に訪問させていただきます。精神科訪問看護に力を入れていきます。

精神疾患を治療するにあたって、薬はとても大事です。今回は精神疾患に用いられる治療薬について述べていきます。

統合失調症とは、現在100人に1人の割合で発症している身近な精神疾患です。幻覚や妄想などの症状が特徴的な疾患ですが、適切な治療を受けることで回復も見込めます。治療に使用される薬は、統合失調症の治療を目的に開発された抗精神病薬です。抗精神病薬はドーパミンの働きを調整し、脳を正常な状態に整えます。

症状や体質に合わせて薬は処方されますが、現在の主流はリスペリドンなどの非定型抗精神病薬です。比較的新しい治療薬で、副作用が少ない点が特徴的です。

うつ病は「気分が重い」「眠れない」「死にたい」など、気分の落ち込みが長期間改善されない時に診断されます。

治療薬である抗うつ薬は、脳内の神経伝達系に作用して脳内の調整を行う薬です。飲み始めてから作用するまで1~2週間は時間がかかります。

よく使われる薬としてアモキサピン、マプロチリンなどがあります。

投薬は約半年を目安に行われるので、症状が改善したからと言って勝手に服薬を止めないでください。うつ病は特に再発の可能性が高い精神疾患です。

うつ病に限らずどの病気でも、主治医の指示にはきちんと従ってください。

パーソナリティ障害とは、人とは外れた行動や言動をしてしまい本人はもとより周囲にも影響を与えてしまう精神疾患です。

パーソナリティ障害は、性格が悪いのではありません。精神疾患に分類される病気で、しっかりと治療を行えば改善されます。

治療法は心理社会治療(精神療法やカウンセリングなど)が主ですが、症状によっては治療薬を併用する場合もあります。使用するのは統合失調症で使用される抗精神病薬などです。

よく使われる薬としてはアリピプラゾール、バルプロ酸ナトリウムなどがあります。

また、パーソナリティ障害は他の精神疾患を引き起こしやすいので、そちらの治療のための薬も処方される場合があります。

解離性障害とは、感覚をまとめる能力が低下し、他人格が現れたり異常行動を起こす状態のことです。

記憶が失われたり、1つの体に複数の人格を有する多重人格障害と呼ばれる障害が表れたりします。

解離性障害は症状が複数あり、根本的な治療薬が開発されていません。そのため、治療はカウンセリングや精神療法が一般的です。

また、周囲の理解も必要なため、家族や周囲の方への情報提供にも積極的に行います。他の精神疾患を併発している場合は、その精神疾患に対しての薬物治療は行われます。

睡眠剤の種類・効能はさまざまです。まずは、それぞれの持続時間を述べていきます。

超短時間型は、効果のピークが1時間未満で作用する時間も2~4時間ほどです。ハルシオン、アモバンなどです。

短時間型はピークが1~3時間、作用する時間が6~10時間になります。レンドルミン、デパスなどです。

中間型と長時間型はさらに長時間作用し、ピークが1~5時間で作用時間は20~24時間を超えることもあります。ロヒプノール、サイレース、ドラール、ベノジールなどです。

ただし、処方された睡眠剤を既定の倍量飲んだとしても、作用する時間が倍になるわけではありません。眠れないからと多く服用しても意味がないのです。

睡眠に効果のある抗うつ薬は、特性として抗ヒスタミン作用が強いとされるNaSSAや四環系、三環系などです。

セロトニン2受容体をブロックする作用があるので、より深い睡眠をとれる効果が期待できます。このように睡眠薬代わりとされる抗うつ薬は、鎮静系抗うつ薬と呼ばれています。

この中でもアミトリプチリンは、レム睡眠を少なくする作用がある抗うつ薬です。レム睡眠の時間が減ると夢を見る頻度も減るので、悪夢に悩まされている方に処方されます。

副作用として、眠気やめまいが起こる可能性があります。自動車などの運転は注意が必要です。

抗精神病薬においては統合失調症治療のために開発された治療薬です。睡眠薬としての作用時間は、短時間型から長時間型まで幅広く取り揃えられています。

抗精神病薬は、ドーパミンの働きを調整する薬です。鎮静効果は、薬の効果でドーパミン2受容体をブロックすることで得られます。

また、非定型抗精神病薬に分類されるレボメプロマジンとクロルプロマジンは、セロトニンにも作用するので眠りを深くする効果も期待できます。

紹介した薬は、アルコールの影響を受けます。強く効きすぎる危険性があるので注意してください。

精神疾患治療は、重度でない限り在宅で行われます。入院措置をとられる場合もありますが、ある程度症状が落ち着くと在宅に切り替わる仕組みです。

訪問看護のサポート内容は多岐に渡りますが、その中に服薬の補助も含まれます。精神疾患の患者にとって、毎日の服薬は症状の改善に必要な行為です。

しかし、決められたルーティンを行うことが困難な患者も多くいます。そんな時に訪問看護のスタッフが補助することで、飲み忘れや過剰に飲みすぎることを防ぐことが可能です。

訪問看護のメリットの1つが、住み慣れた自宅で療養できる点です。精神疾患患者の中には、環境の変化に弱く、環境が変わると強いストレスを感じる方がいます。

そのような方は入院措置をとらずに、在宅で療養を行った方が高い治療効果を期待できるのです。

患者本人がリラックスできる場所であれば、訪問看護のサポートを受け入れやすくなります。

精神疾患の治療の中で、コミュニケーションはとても重要です。なぜならそれは、心で感じている苦しさなどを伝えてもらわないと、どんな治療法が良いのかわからないからです。

訪問看護では専門知識を持つ医療従事者が、自宅での様子や本人との会話などを観察し病状を把握することができます。

知りえた情報を医師と共有することで、患者や家族にとってより良い治療法やサポートを提供することができるのです。精神疾患の多くは、服薬で高い治療効果を出すことができます。しかし、日常生活がおぼつかない中で、患者本人や家族が服薬の管理をすることはとても大変です。

服薬に限らず、専門的なサポートを受けたい場合にはお問合せ下さい。